北海道カジノのギャンブル依存症対策

日本は、世界でもトップクラスのギャンブル大国として有名で、遊技のパチンコやパチスロ、公営競技の競馬・競輪・競艇、公営ギャンブルの宝くじ・ロト・ナンバーズと世界最多数といっても過言ではないくらい様々な種類のギャンブルが存在しています。

 
それだけに、すでに日本国内だけでギャンブル依存症患者は約540万人もいると言われており、北欧やヨーロッパ、カナダ、アメリカ、オーストラリア、韓国などでは国民全体の1〜2％未満がギャンブル依存症疑いがあるところ、日本では国民全体の約5％がギャンブル依存症疑いを持っているという調査結果が出ています。そしてその内訳は、2013年度調査（約4,000人を対象）で男性が約9％未満、女性が2％未満の水準なので、圧倒的に男性のギャンブル依存症疑い者数が多いということになります。ただ、「ギャンブル依存症患者の人数」ではないため、実際は医療機関で治療が必要なレベルの人数は、もっと少ないということになります。

 
このような状況から、日本政府はカジノによるギャンブル依存症対策として「ギャンブル依存症対策基本法案」を打ち出し、まずは日本に存在する既存の各種ギャンブルでの依存症患者がこれ以上増加しないように努める方向で動き、北海道カジノでもそのシステムを応用しようとしているというわけです。
 

ギャンブル依存症対策の5つのポイント

●ゲーミングに触れる機会を限定すること。
●カジノ施設への誘客マーケティングを規制すること。
●カジノ施設への厳格な入場規制を行うこと。
●カジノ施設内で規制を設けること。
●ギャンブル依存症に関する相談・治療につながる取り組みを行うこと。
 

ギャンブル依存症対策基本法案の一例

●ギャンブル依存症については、地方自治体とカジノ事業主体が相応の責任を負うこと。
●公営競技を運営する地方自治体は、規制強化に向けた基本計画を策定すること。
●公営競技場などへの入場を、マイナンバー制度や顔認証システムなどを活用して規制すること。
●ギャンブル依存症が疑われる人の賭博場への入場を、当人の家族からの申請で禁止すること。
●インターネット経由での公営競技チケットの購入を制限すること。
●パチンコの射幸性を抑制して、出玉率に規制をかけること。

とくに海外では「ギャンブル依存症対策」として、自己申請やその家族の訴えによるカジノ場入場規制と、ゲームプレイに使用する金額の規制がかなり効果を発揮しており、プレイヤー自身で制限をかけた賭博のコントロールが難しいケースにおける家族の支えは、破産者や生活保護者を出さない上で非常に重要であることが分かっています。また国によっては、例えばスロットマシンを一定時間スピンし続けると継続プレイの意思確認画面が表示されたり、カジノ収益の多くをギャンブル依存症対策に再投資して万全な対策に取り組んでいるなど、独自のギャンブル依存症対策を取り入れている場所もあります。

 
なお、海外のカジノがあるほとんどの国では、ギャンブルに対する厳しいルールがしっかりと法律で整備されており、ギャンブル依存症対策も万全な体制であることから、北海道でオープンするカジノを含む統合型リゾート（IR）でも、むしろギャンブル依存症患者数が減少することが期待されています。実際、シンガポールを例にすると、カジノ施設のオープン前のオープン後で、病的賭博者と推定される人やギャンブル依存症と推定される人の数が大幅に減少したというデータがあります。

 
（参考文献: 別冊宝島 カジノと日本経済 / 宝島社,2017 ）